アンチョビ「一万回目の二回戦」
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275: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/15(月) 22:27:26.79 ID:6Fy41Xha0

 ……ああ。

 わくわくと、胸が躍る。

 P40のハッチから上半身を出し、エンジンの振動に揺られ、吹いては凪ぐ風を感じて、頭の中には作戦を張り巡らす。
 体中に巡った熱は冬の寒さを忘れさせ、そのまま昂揚感に脳をやられてしまわないよう自制する。

 横を見ればセモヴェンテ、反対側にはCV33。
 ここからは見えないけれど、きっとフィールドの遠く向こうにはチャーチルやマチルダが並んでいることだろう。

 ひゅううと高音が聞こえて、白煙が空に上がった。
 天高く弾ける白煙は、試合開始を告げる合図だ。

「いくぞ、お前らっ!」

 ああ、なんて贅沢なんだ。

 私はいま、戦車道の只中にいる。

「アーヴァンティっ!」

 前方へ叫ぶと、みんなの雄叫びが私の耳に届いた。



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