11: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:47:52.83 ID:l6pE73h60
「私たち、昨日、大洗と試合をしたよな?」
「してないっす」「夢じゃないすか? だぜ」
12: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:50:07.82 ID:l6pE73h60
血の気が引くのを感じた。
ポーチもそのままに、二人へ背を向け廊下を駆け戻る。
13: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:53:34.81 ID:l6pE73h60
私の想像に反して馬鹿なことというのは起こるもので、時間が巻き戻ったのはカレンダーだけの話ではなかった。
スマホでニュースサイトを眺めても、アンツィオのみんなに訊いてみても、いま私がいる時間は大洗との試合の一週間以上前とのことだった。
どうやら私は、タイムスリップというやつを体験してしまったらしい。
14: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:55:46.81 ID:l6pE73h60
あっという間に一日が終わって、翌日、土曜。
さて今日も戦車道の練習だ、という段になって、ふと思った。
15: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:57:20.78 ID:l6pE73h60
全身が、かっと熱く燃え上がった。
まだやれる。まだやれるのだ。
アンツィオの夏はまだ終わっていない。
16: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 21:59:23.01 ID:l6pE73h60
大洗と試合をした経験は私の中に宿っている。
これまで通りやれば大洗に敗北してしまうことを、私は知っている。
戦術を変える必要がある。
17: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 22:02:06.89 ID:l6pE73h60
――だとすれば、どうする?
簡単だ。奴らの思いもよらぬ策を打ち立てれば良い。
18: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 22:03:32.99 ID:l6pE73h60
「二回戦は、一回戦とは戦術を変えようと思う」
「これからですか? もう試合まで一週間ですよ」
19: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 22:06:00.00 ID:l6pE73h60
練り上げるのに半日かかったが、出来上がった作戦は完璧だった。
初めからフラッグ車へ奇襲をかけるのはやめだ。
今回はその真逆、各個撃破を行う。
20: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 22:07:31.64 ID:l6pE73h60
「ドゥーチェ、この後どうすんでしたっけ」
「あぁあああこっちに戻ってくるなあぁあああっ!」
21: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/13(土) 22:09:48.00 ID:l6pE73h60
せっかくチャンスを与えられたというのに、またしても。
――もっとみんなの性格を計算すべきだった。
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