塩見周子「Everything(It's you)」
1- 20
32: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:50:23.07 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

「なんだ、周子。さっきも言った通り、トラブルだからなるべく早く事務所に行きたいんだが……」

以下略 AAS



33: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:51:24.02 ID:Y0XQqU7d0

 ついに堪え切れなくなったPさんが、焦ったように口を開く。

「周子、どうしたんだ。何かあるのか? さっきも言った通り、俺は早く行かなきゃいけないんだ」

以下略 AAS



34: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:51:55.13 ID:Y0XQqU7d0

 また二人の間に流れる沈黙。
 今までずっと一緒にいて、沈黙が流れることも少なくはなかったけど、その中でも最悪の空気だった。

 Pさんはみるみる顔色が悪くなっていく。
以下略 AAS



35: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:52:22.77 ID:Y0XQqU7d0

「いいって、いいって。Pさんとあたしの仲なんだからさ」

「本当に悪い……。この埋め合わせは必ずするから」

以下略 AAS



36: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:53:01.71 ID:Y0XQqU7d0


「あたしね、Pさんの事が好きなんだよ。一人のオトコとして、一人のオンナとして」


以下略 AAS



37: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:53:55.21 ID:Y0XQqU7d0

 言った。言ってしまった。
 もう後には戻れない。でも今言わなければ、もう一生言えない言葉。

 真剣さが伝わったのか。はたまたあまりの衝撃で頭がフリーズしているのか。Pさんからの返事は全くなかった。
以下略 AAS



38: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:54:40.51 ID:Y0XQqU7d0
 
 どれほど時間が経っただろう。
 約束の十分はもう過ぎているのかもしれない。過ぎてないのかもしれない。
 体感時間がおかしくなった空間に、あたしとPさんだけが取り残される。

以下略 AAS



39: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:55:32.14 ID:Y0XQqU7d0

「あたしがアイドルで、Pさんがプロデューサーだから?」

「違う」

以下略 AAS



40: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:56:38.84 ID:Y0XQqU7d0

「──どうしてなのかな?」

「それは……」

以下略 AAS



41: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:57:24.13 ID:Y0XQqU7d0

「その人は……自分を犠牲にしても、いつでも、守るべきただ一つのものなんだ」

「……ふーん、そっか。そっかそっか」

以下略 AAS



42: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:58:04.26 ID:Y0XQqU7d0

「……周子」

「いいの、いいの。どうせアイドルなんて徒花みたいなもので、いつ終わるかも分からない代物ものだし」

以下略 AAS



43: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:58:57.96 ID:Y0XQqU7d0

「だから、Pさん。もう終わりなんだよ。あたしはPさんを愛してる。Pさんは他の人を愛してる。それでこの話は終わり」

「でも、ありがとうPさん。あたしの茶番に付き合ってくれて。あたしの告白に付き合ってくれて」

以下略 AAS



44: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:59:34.32 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 良く晴れた日の朝、あたしの足は事務所へと向かっていた。
 今日の現場まで車で送ってもらうために一旦事務所に集合するためだ。
以下略 AAS



45: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:00:07.91 ID:Y0XQqU7d0

「おはよう、Pさん」

「あぁ、おはよう、周子」

以下略 AAS



46: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:00:35.21 ID:Y0XQqU7d0

 Pさんを脅したのは悪いと思ってる。
 でも、あたしには何を犠牲にしても守りたいと思うものがあったのだ。
 あたしにとって、それにあたるのはPさんだったのだ。

以下略 AAS



47: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:01:01.50 ID:Y0XQqU7d0

「さぁ、もう行くか。今日も忙しくなるからな」

「はいよー、安全運転、よろしゅーこ」

以下略 AAS



48: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:01:29.04 ID:Y0XQqU7d0

 あたしが愛した人はプロデューサーだった。
 そしてその人の左手の薬指には──

 ──Pさんの幸せを象徴するかのようにキラキラと輝く指輪が嵌っていた。


49: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:01:56.99 ID:Y0XQqU7d0
おわり


50: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:03:39.26 ID:Y0XQqU7d0
以上です。ありがとうございました。

ミスチルの同曲はその歌詞、発表時期などから様々な解釈がされておりますが、そのうちの一つを自分なりに解釈してみました。
もし皆さんの琴線に触れたなら幸いです


51: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 20:05:08.43 ID:Y0XQqU7d0
最後にこの曲の動画を置いておきます
こちらはミスチル公式チャンネルに上げられているライブでの動画です

https://www.youtube.com/watch?v=EoQVLCwtBvI

以下略 AAS



52:名無しNIPPER[sage]
2019/07/10(水) 09:55:32.98 ID:Ndld46LRO
乙〜


52Res/33.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice