塩見周子「Everything(It's you)」
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3: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:31:37.58 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 Pさんとの出会いはあたしにとって衝撃的だった。
 守るべきものがなく、夢も持たず、ただの文字通りの旅路の果てであった東京で、あのように出会ったのだから。
以下略 AAS



4: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:32:11.76 ID:Y0XQqU7d0

 しかし現実は非情だった。
 結構あると思っていたへそくりの諭吉さんは意外とおらず。
 仕事をしようにも住所がないと面接にすらありつけず(正確には京都にあるが……)
 そうこうしている内に今日泊まる宿すら無くなっていく。
以下略 AAS



5: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:32:46.24 ID:Y0XQqU7d0

 途中で何人かから声をかけられたが、全部無視する。
 声をかけてくる連中は足元を見てる。こんな奴らについていったら大変なことになるのが目に見えてる。

 逆に何人かに声をかけてみた。
以下略 AAS



6: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:33:34.35 ID:Y0XQqU7d0

 どれほど、そうしていただろうか?
 いっそここで一夜過ごすのも悪くはない。そんな風に思っていたら、急に声をかけられた。

「大丈夫ですか? どうかしましたか?」
以下略 AAS



7: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:34:31.88 ID:Y0XQqU7d0

 永遠に思える沈黙。彼の回答次第であたしの運命が決まる。
 どっちにしたって最悪だろうが、よりマシな方を選びたいというのが人情だ。

「……分かった。お前を"買った"」
以下略 AAS



8: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:35:13.64 ID:Y0XQqU7d0

「アイドル事務所の……プロデューサー……?」

「あぁ、そうだ。簡単に言えばアイドルになってもらいたい。そういう意味で『お前を買った』と言った」

以下略 AAS



9: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:35:52.58 ID:Y0XQqU7d0

 そこで彼は左手の薬指を右手で撫でた。

「──俺の家には嫁さんがいるもんでな……」

以下略 AAS



10: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:36:29.93 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 結局その日は本当にホテルへ泊まった。勿論一人で。
 翌日、ホテルを出ると昨日の彼があたしを待っていた。そして二人で彼の事務所に向かった。
以下略 AAS



11: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:37:11.57 ID:Y0XQqU7d0

「周子は何でもできるな! 流石だ! アイドルの才能があるじゃないか?」

 そうやって手放しで喜んでくれるPさん。その姿を見て嬉しくならないはずはない。
 誰かから褒められるなんて、今までの人生の中でなかなか無かった出来事である。
以下略 AAS



12: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:38:02.85 ID:Y0XQqU7d0

 多分、その頃が一番幸せな時間だったのだろう。
 そういう時こそ、大切なことが解りづらくなってしまうのである。
 どうして気づかなかったんだろう。

以下略 AAS



13: ◆ukgSfceGys[saga]
2019/07/09(火) 19:38:46.72 ID:Y0XQqU7d0

◆◇◆

 あたしが異変に気が付いたのは、実は特にきっかけがあるわけではなかった。
 ただ急に、自覚して、『あぁ、なるほどなぁ……』と納得しただけである。
以下略 AAS



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