74:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:45:55.60 ID:zmX2O7Gg0
育「今夜が、お城で二人で見る初めての満月だね」
環「うん。でも……なんだかちょっぴりつまんない」
育「そう? ぼくはこうして、ターニャと二人で月を見られるだけで――でも確かに、前は外で夜風に吹かれながら気ままに月をながめてたっけ」
環「そうだ! ねぇイグナス、ターニャの背中に乗って! どこか月がきれいに見渡せる丘まで行っちゃおうよ! さぁ早く早く!」
育「ちょっ、勝手にお城を抜け出したら――でも、いいよね」
環「ワオォォーーーーン♪」
琴葉「なっ!? あの子たち、こんな時間に外に出るなんて。もう〜…」
恵美「まあまあ、いいじゃないか。それに夢に見た光景でしょ? ターニャが満月の夜に、こんなに楽しそうに過ごしてるんだから」
琴葉「……うん。それもそうね。これからはこんな穏やかな月夜を、女王としてしっかり守っていかなくっちゃ」
それからヴォルフス王国では、満月の夜にはターニャ王女の遠吠えを合図に老いも若きものんびり月を眺める風習ができた。
町の子どもたちも犯罪を恐れず丘まで月見に出られるようになり、人々は末永く穏やかに暮らしたそうな。
☆おしまい♪
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