2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/08(月) 11:32:56.25 ID:j9Abq5z4O
「ポケモンセンター」というと外傷……特にバトルで傷ついたポケモンたちを回復させる場所として知られているが、その実かなりの『なんでも屋』気質が強かったりする。
例えば救急車で運ばれてくるポケモンの初期対応。
例えば慢性期疾患の定期受診。
大きい街のポケモンセンターともなれば、入院加療できる設備も整って、数十床のベッドが常に埋まっているところなんかもあったりする。
僕が働いているタマムシシティのポケモンセンターは5階建てになっていて、1階にポケモンセンター、2階に簡易透視などの検査室と、職員のための詰め所が入っている。宿直室もその一部だ。
3階以上は病棟で、入院しているポケモンたちで常にいっぱいだ。
階段を降りると、ちょうど救急車が到着したところのようだった。
車内から滑り出てきたストレッチャー(移動式簡易ベッド)には、顔を赤くして荒い息を繰り返すデンリュウ。
その傍にはパートナーであろう、心配そうな顔のおばちゃんがデンリュウの手を握っていた。
「先生、お疲れ様です」
「お疲れです!」
救急隊員と簡単な挨拶を交わし、患者に最初に接触した際の様子が書かれたボードを手渡される。
「後は引き継ぎます」と伝えると、隊員も「では」とすぐにセンターを出て行った。
別の場所でも、救急車を必要とするポケモンがいるのだろう。
パートナーのほうを向くと、口元にハンカチを当てていたおばちゃんは不安そうな顔を上げた。
「こんばんは。タマムシシティ ポケモンセンター担当のサツキです」
「ああ先生、うちのモモちゃんは……!」
「ええ、夜中に大変でしたね。検査するのでしばらく待合でお待ちください」
よろしくお願いします、よろしくお願いいたします。
おばちゃんが何度も会釈をしながら処置室を出て行ったのを横目に、僕はボードに目を落とした。
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