8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/08(月) 00:42:49.46 ID:RMDHO/4E0
「私、さっきから怒ってるんだけど」
奏はまっすぐこちらを見据えてそう語る。 その顔は実に整った凛としたもので、怒りなんて俗物的なものとは無縁に思える。
「だ、だってさっき『悲しい』って……」
「それはさっきの話でしょ?」
それなら『さっきから怒ってる』とは何なのか、奏の時間軸は理屈では説明がつかない。
「ねぇ、私の話ちゃんと聞いてた?」
やはり怒っているようには思えない淡々と綴られる奏の言葉。 どうやら幾年を経て奏は『冷静に怒る』というスキルを身に付けたらしい。 わかりやすい迫力はなくとも恐さは据え置きだ。
「響、『昔はデリカシーなくて奏を傷付けた』なんて言ったけど、今も全然変わってないわよ」
「そ、そんなこと言ってな
「言った」
最強検事は白でも黒へ塗りつぶす。 あたしの弁明は検事兼裁判官の彼女へと届くことはなかった。
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