阿良々木暦「神原、何か飲むか?」神原駿河「私は阿良々木先輩の汗でいい」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/05(金) 23:09:41.72 ID:vXBrfRKkO
「阿良々木先輩」
「なんだ、神原」
「流石に真正面からまじまじと局部を見つめられると、出るものも出ないのだが……」

バス停の片隅にしゃがみ込んだ神原の真正面に陣取り、もはやトレードマークとも呼べるほどに見慣れた黒いスパッツに染みが浮かぶのを今か今かと待ち構えていた僕は、注意された。

「マジ?」
「マジマジ」
「マジマジなだけに?」
「マジメに言ってるんだ」

そんなしようもない冗句で事なきを得ようとした僕だったのだが、神原の目はマジだった。

「それなら、お前は僕にどうしろと言うんだ」
「普通に、後ろを向いてくれればそれでいい」

おいおい、マジかよ。マジマジかよ。
すぐそこで、僕の魔の手が届く範囲で、今からおしっこをしようとしている後輩に背を向けるなど、本気で言っているのだろうか。

ここで背を向けたならば、最後。
僕はこの先一生、神原の先輩としての面目が立たなくなることは言うまでもない。
家に帰っても、そんなお兄ちゃんは知りませんと妹達から冷たくされて、居場所を失い。
時を同じくして、恋人である戦場ヶ原ひたぎから別れを告げる新着メールが届くことは、もはや確定された未来であると断言できる。

故に、僕はこの場から離れるつもりはないので。

「手、繋いでやろうか?」
「何故、今このタイミングで手を繋ごうとする! デリカシーを履き違えるな、阿良々木先輩!」
「まあ、楽にしろよ、後輩」

デリカシーを履き違えた僕は、神原の手を握った。


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