109: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/07/14(日) 02:11:26.51 ID:Mh6fG3ql0
男(しかしそうではなかった。俺は感じていたんだ)
男(あの小さな身に余りある程の……強い想い)
ーーーーー
少女「──呆れるくらい何もない人生だったわ…」
ーーーーー
男(それは恐らく、人間なら誰しもが抱く当然の想い)
男(──幸せになりたい、と)
男(その想いは、彼女の人生の半分以上もの間、どこにも解放されることなく、彼女の中で燻り続けてきたのだろう)
男(孤独という呪縛に囚われた彼女には、捨てることも成就させることも叶わなかった……)
男「………」テクテク
男(……そう、呪縛なんだ)
男("孤独"などというその言葉の本質。人間に理解できようはずがない)
男(確かに、この世のあらゆる命は生まれながらにして唯一無二……ヒトリだ)
男(一つの確立された個としての、ヒトリ)
男(だが、生きていく過程で必ず他者の想いが乗せられていく)
男(初めは親)
男(知人、友人、恩人、恋人、子供……)
男(そうして誰かの想いを抱えながら、時を重ねていく)
男(孤独とヒトリは違う)
男(孤独の本質とは、何者からも想われることがないということ)
男(己だけでは生きていけない人の身で、それを理解することは出来ない)
男(………)
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