静香千早「「アライブファクター」」 【ミリマス】
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29: ◆0NR3cF8wDM[saga]
2019/06/30(日) 00:44:59.01 ID:+e3phmGi0


 ……闘ってる。

 誰かが小さく呟いた。
 聞こえた人間の全てが同意するものだった。

 デュオだった。
 だが、デュオと表現するのが躊躇われるような二人の歌唱だった。
 もはやそれは、歌を介した闘いだった。
 本来ならばあるまじきことに、観客さえも意識することなく、ただただ互いに歌という暴力で殴り合っているような光景だった。



 二人が中央へと歩み寄る。
 歌声が、重なる。

 二倍どころではない。共鳴する。三倍にも四倍にも感じられる声の圧力。
 びりびりと身体の真ん中にまで響く歌声だった。割れんばかりの、とはよく使われる表現ではあるが、本当に物理的に会場が割れてしまうのではないか、観客にそう思わせる程の圧倒的な力強さだった。
 盛り上がる程に冷たくなっていくような、異様な興奮が彼らを包みこんでいた。

 如月千早の相手役としての最上静香。当初そう考えていたファンでさえ、ここに至って、二人は「如月千早と最上静香」として、対等の立場でステージに立っているのだと理解した。
 静香の刃は、確かに千早へと、観客へと届いていた。
 如月千早をも超え得る存在。
 とうとう、最上静香はそう認められたのだった。





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