3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/06/28(金) 06:14:27.05 ID:hRYw497E0
「あー、なんかしんみりさせちゃってごめん」
「いやいや、これは仕方ないよ。仕方ない。奈緒は私なんかの何倍も難しい問題に向き合ってるんだし」
「……アイドル、いつまで続けるんだろー、とかアイドルじゃなくなったときに大学を出てないとやっぱり不利になるのかなー、とか……そうやって考え出したらわけわかんなくなっちゃったんだよな」
「それは……うん。わけわかんなくもなるよ。これは私、無責任なこと言えないかなぁ」
「そこは、うん。助言してくれー、なんて言わねーから大丈夫」
「だってさ、今だって高校生とアイドルの両立で大変そうなのに、身勝手に頑張れ、なんて言うわけにもいかないし……」
それもそうだよな、と友人の言葉を受けていっそう気分が沈んでしまう。
しかし同時に、親身になって聞いてくれて、本当にあたしのことを考えて言葉を選んでくれている彼女の心遣いはありがたいなぁ、と思う。
「なんにせよ、さ。こうやって普段学校で話したり、たまにカラオケとかランチとか行ったりする奈緒も私は好きだし、アイドルとして頑張ってる奈緒のことも応援してるから……その、さ。納得のいく答えが出るといいね……なんて、こんなことしか言えないけど」
「いや、十分だって。話したらちょっと楽になった」
「ならいいけど……まぁ、ほら。今はお昼食べよ?」
「ん、そうだな。なんかホント、悪い」
「謝んなくていいよー。さぁさぁ! 売れ残りのあんまおいしくないパン買いに行くぞー!」
「おー! ……全然嬉しくねぇなー、これ」
「間違いないね」
立ち上がり、財布を片手に教室を出る。隣を駆ける友人に、少し小さな声での「ありがとな」を投げると「ふふふーお安い御用だぜ」と返ってきた。
解決はしなかったものの、自分が抱えている物の輪郭はくっきりとしてきたような気がする。
ほんの一歩ではあるが、あたしの中で前進したことは友人に感謝しなくてはいけないだろう。
「あ。そうそう」
友人はぴたりと足を止めて、何かを思い出したように口を開く。
「ん。どうした?」
「さっきの奈緒と私の話あるじゃん?」
「おー」
「あれさ、テレビで感動エピソードとしていつか披露してもいいよ!」
「ほんと、おまえ、そういうこと言わなきゃ完璧なのにな」
「そこが良いとこです」
「はいはい。あんまおいしくないパン買いに行くんだろ」
「購買のおばちゃんに失礼だよ」
「いや、先に言ったのお前!」
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