【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語Part3
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91:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 01:05:48.22 ID:vpSm0mUm0
「バスターモード、起動」

ショットガンにソードビットを装着し、前方に向ける。ガーゴイルから、無数のビットとミサイルが放出される。

だが、相手が悪すぎた。どれだけ弾を撃ち出そうと、それを容易に処理出来る武装を、敵は持っていた。

「ぎ…いぎぃっ…!?」

光の奔流に全てが消え失せ、ARMの装甲を削り取る。熱の許容量を超えた電子機器が破損し、コックピット内で火花が散る。

不幸にも、破損時に噴き出た残骸が、少年の喉を焼いてしまった。

声帯が傷付き、言葉を紡げない。声にすらならない叫びが、小さな揺り籠を満たす。

「お兄ちゃん…。はぁ、これでおしまいかぁ」

「じゃあ、皆も連れてかなきゃね♡」

兄の苦しむ声が耳を劈く。溜め息を吐いたナタルは、自爆プログラムを起動させる。

どうせ消える命なら、終わるその瞬間まで楽しみたかった。略奪を、背徳を。

幾度身体を重ねても、満たされなかった。こんな私を作ってくれた人は、既にいなかったから。

「お兄ちゃんじゃあ、パパの代わりは無理だったか。…うん、当たり前だよね」

「だって、パパの狂い様は、誰にも真似出来ないものね!」

「パパ…待っててね…。今、ナタルも逢いに行くから…♡」

そこで、ナタルの意識は完全に途絶える。痛みを知らず逝けただけ、幸せなのかもしれない。

『極限』が振るう右腕の光刃が、的確にコックピットだけを切り裂いた。

対消滅炉も稼働を終了し、自爆プログラムによって開かれた炉心から、反物質が漏れ出す。

それは、純白のARM『エリュシオン』を食み、ゼロに還した。


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