【オリジナル・安価&コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語Part3
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137:名無しNIPPER[saga]
2019/07/15(月) 01:37:02.19 ID:AvHoSOaq0
「そういえば、あれ。誰が送って来た物なんですか?」

「あれ、か。俺の身内だよ」

「…てっきり、天涯孤独だと勝手に思ってました」

「言ってなかったからな。こんな仕事をしてりゃ、そう思ってもしょうがない」

「…ま、貧困層の出だ。どうなってるかは想像に任せるよ」

「と言われましても…」

自身も似たような身だが、何とも言えない。両親の残した遺産がある内に、今の仕事にありついた。

それからずっと、リーゼの治療を続けてきた。自分に充てられる資金はあまり無かったが、金で困るようなことは記憶の中には無い。

所持金が少ないという点でいえば、貧困層と言えるかもしれない。だが、総資産だけでいえば、富裕層のそれと変わらなかったのだ。

だから、イメージが出来ない。

「………」

「…そんな顔するなよ。何でそんな絶妙に気まずい表情なんだよ」

「いやぁ…」

想像に任せる、と言われ想像しても、何も思い浮かばない。気まずい表情になるに決まっている。

「…あの」

こんな空気を長引かせるわけにはいかない、と口を開くリヒト。流れを変えるついでになってしまうが、伝えておきたいことがある。

「いつも、ありがとうございます。一緒に戦ってくれて、気遣ってくれて」

「ボァブさんがいなかったら、俺が死んでいた時もありました。冥王星のあれとか特に」

何かある時、先陣を切ってくれるのは、いつもボァブだった。その献身に、どれだけ救われたことか。

「…リヒト。そういうの、もうちょい言うべきタイミングがあると思うんだよ…。俺が言うことじゃあないけど」

「ですよね…」

照れ隠しに、リヒトはそっぽを向いて頬を掻いた。

そんなリヒトを見たボァブは、温和な笑みを浮かべ、泣いた。

こんな俺でも、誰かの役には立てるんだな。


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