4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/06/19(水) 23:22:59.90 ID:ikHTZENWO
「西片」
「なに、高木さん?」
しばらく、彼女の容態を見守っていると。
瞑っていた目を開けて、呼ばれた。
すぐに応じると、高木さんは身を起こした。
「起きても平気なの?」
「うん……それより、西片に頼みがあるの」
「僕に出来ることならなんでも言ってよ!」
弱っている高木さんからの頼み。
それがなんであれ、全力を尽くすつもりだ。
無力な僕には、そうすることしか出来ない。
「水をちょうだい」
「水だね! わかった! いま持ってくるよ!」
すぐに保健室の手洗い場へと向かい。
蛇口を捻って、水をコップに注いだ。
そして急いでベッドまで戻ってきた。
「はい、高木さん」
「ありがと」
コップを受け取った高木さん。
すると、なにやらゴソゴソして。
スカートのポケットから薬を取り出した。
それをこちらに見せて、苦笑する高木さん。
「これ、すごく苦い薬なんだ」
「なんの薬?」
「西片も飲んでみる?」
「え? 僕も?」
「一緒に飲めば、苦さも和らぐかも?」
なんだそれは。
そんなのおかしい。
だいたい、僕は健康だ。
薬なんて飲む必要はない。
しかしながら、なんとも意外だ。
高木さんが苦い薬を嫌いだなんて。
なんだか、幼い少女のようではないか。
そんな彼女を見て、僕は優越感を抱いた。
「はっはー! 高木さんは子供だなぁ!」
ドヤ顔をしつつ、彼女の手から薬を受け取る。
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