【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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84: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:41:24.73 ID:BLRBsoCc0

 その最も奥まった席に、一人の女性が座っていた。


 蓄音機から流れるオールディーズに耳を傾け、下世話なパルプ雑誌を学術的目付きでめくる女性。
 片手のワイングラスでは鳩の血色の液体がゆらゆら揺れる。

 大胆にはだけた胸元で、宝石のペンダントが上品に光っていた。

 楓さんは彼女の前に立って居住まいを正す。
 ふわっと風の揺れる気配を感じて、女性は眼だけでこちらを見上げた。


「ご無沙汰しております、総代」




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