【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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83: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:39:53.38 ID:BLRBsoCc0

   〇


 他にも色々な店があった。

 テントとは思えない本格的な洋菓子店。年代物を取りそろえたレコード店。色とりどりの古着屋。
 屋台食堂、おもちゃ屋、レトロゲーム屋、情報屋(?)、着ぐるみ屋(??)――などなど。

 宝石箱をひっくり返したような色どりの中を泳ぎ渡り、高垣さんは参道の果てを指差す。

 そこは境内のような広場で、多くの人が集まり、それぞれの時間を楽しんでいる。
 中心には馬鹿でかい桜の木があってまた驚かされた。


「満開……ですね。もう夏なのに……?」
「あの桜が、夜市の中心です。――少し挨拶をしたい人がいるんです」


 桜の下には卓と椅子が並んでいた。
 小さくは一人席、大きいものだと六人掛けのテーブルが配置され、人々が桜吹雪の中でお茶を飲んでいる。




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