【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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305: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/09/05(木) 01:26:18.69 ID:9I+qLSeE0

  ◆◆◆◆


 高垣楓のステージは、街角のごく小さなものだった。

 CDショップのささやかなイベントスペース。ミニライブといった感じで、50人も座れれば上等な方だろう。
 実はずっと待っていた。彼女に歌の仕事はいくつか来ていたのだが、これまでは全て断ってきていた。

 本人が「歌いたい」と言うまで。

 曲を用意して会場を手配し、トレーナーさんを付けてスケジュールを組み、セッティングは当の高垣さんが呆気にとられるくらいのスピードで進む。
 当たり前だ。一分一秒が惜しい。
 他の誰よりも、俺自身がどれほど聴きたかったと思ってるのか。


 会場の入りは、まあまずまずといったところ。
 新人アイドルのデビューと聞いて来た人、たまたま通りかかった人、モデルの高垣楓を知っていた人。
 ほとんどの人は半信半疑。どんなもんかと思っているだろう。暇つぶしくらいのつもりで来ている人もいるだろう。

 彼らは幸運だ。
 これから、最初の証人になるだろう。のちのち自慢できるぞ。あの高垣楓の生歌を最初に聴いたってな。




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