【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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302: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/09/05(木) 01:21:19.51 ID:9I+qLSeE0

  〇


 または、忙しさもほんの少し落ち着いた、いつかのある夜のことだったり。


 高垣さんはその夜、上機嫌だった。
 ローカルCMの仕事を一件終え、その流れで久しぶりに飲んでいた。

「夜桜」
「はい?」
「綺麗ですねぇ。八分咲きといったところでしょうか」

 見上げる先には、街路樹の桜。柊さんが従える「あれ」ほどではないが、かなり立派だ。
 冬は終わり、もうすっかり春になっている。
 風は花葉の香りを含んで、酒に火照った顔を涼しく撫で去っていく。

 最初に会った時みたいだなぁ、ということをなんとなく思った。

「昨日、モデル時代からお世話になってる美容師さんと会ったんです」
「そうなんですか?」
「そうなんです。――前より、よく笑うようになったと言われました」




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