【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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252: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/08/31(土) 23:09:53.48 ID:zSc+xtMY0

 住む世界が違う。確かにその通りだろう。
 高垣楓は、きっと余人の誰にも到達しえないずっと高みにいる。

 穢されず侵されず、而して触れられず、理解されることもなく。

 高く高くまで飛んでいって、ある時ふっと消えてしまうのだ。
 俺達凡人はその去り際にすら気付かず、誰もいない夜空を見ては「どこへ行った?」と首を傾げるだけ。

 かの人はそうして誰も届かない場所に在り、たった一人で涙を呑む。

 その理由さえ知られぬままに。

 ……だけど、一度でも知ってしまえば。


「寂しかったと、確かに言ったんだ。あれはお姉さんの言ったことだけど、高垣さんの本音でもあった筈です。なら……!」
「身の程を知りなさい」

 表面上は穏やかなまま、柊さんの纏う空気がガラリと一変した。
 その底冷えするような圧は、彼女が確かにあの「夜市」の総代であると実感させられる威厳に満ちていた。




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