【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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◆DAC.3Z2hLk
[sage saga]
2019/08/22(木) 00:42:36.08 ID:rmOYl90d0
どうしてそんなことが気になるのだろう。
川島さんは立ち止まり、またほんの少しだけスタッフに合図して、天井を仰ぎ……
「…………これは、言わないつもりだったけど」
何かを、決意した。
「楓ちゃんね。君のこと、よく話してたのよ」
「……俺のことを?」
「こんな人がいて、こんな場所で飲んで、こんなことをした。こんなことを話して、こういうことをした……って」
振り向く彼女の笑顔は、優しかった。
その時、確信があった。川島さんは俺のことを、俺が思うより前から知っていたのだ。
こちらから接触する前に。
高垣さんの話から……いわば「友達の友達」みたいな距離感で。
だから最初に会った時、あんなに親しげだったんだ。
……頭の中で、何か大きな前提が崩れ去ろうとしているのを感じる。
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