【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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153: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/14(日) 01:03:53.23 ID:TmI5fe2I0

 ややあって虚空を見上げ、不意に切り出す。

「――どこか、『ここではない』という思いがいつもあるんです」

「……はい?」
「体が、まだ……何かを、追いかけたがっているような」

 青い左目は揺らぐ川面を写し取る。まるで仙人みたいな静謐な表情に、泣きぼくろが不思議と目に焼き付いた。

「時々、見つけることもあります。ここならいいのかもという場所を。だけど長続きしなくて。
 どこか空虚で、なんだか寂しい……私以外のみんなが逆さまになって、違う場所を見ているような」

 瞳が、こちらを向いた。

「あなたが示すその場所は、私を閉じ込める鳥籠ですか?」
「……違います! 俺はただ、あなたに相応の活躍の場を用意したくて……!」
「嘘。私がいないと困るって顔。このままじゃいけないんですか? 私はあなたのただのお友達にはなれませんか?」




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