298: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:21:58.36 ID:Bg3Eqo0s0
ふと部屋を見渡せば、部屋の反対側の端のローテーブルに、風花とこのみのプロデューサーの二人が座っているのが見えた。
先ほどまで酒盛りが行われていたらしく、テーブルの上には缶のビールやらおつまみの乾きものやらが乱雑に並んでいた。
プロデューサーはアルコールは飲んでいないようだったが、風花は莉緒と同じように、既にお酒が大分入っているようだった。
風花は、このみの捕獲に成功した莉緒をたたえるように、ぱちぱちと手を叩いていた。
風花に助けを求めることを早々に諦めたこのみは、一縷の望みをかけて、その隣に座っているプロデューサーの方を見た。
すると、このみのプロデューサーは、このみと目が合ったことに気づいて、グラスを持つ手を止めた。
そして、彼はこのみに向かって、会場は此処ですよと言わんばかりに大きく手を振った。
それを見て、このみは思わず彼に、そうじゃないでしょ、とツッコみそうになる。
しかし、彼が手を振りながら、子どもみたいに楽しそうな笑顔を浮かべるので、このみはなんだか気抜けしてしまった。
このみは、もうこの運命から逃れられないのだなと悟って、そっと笑った。
結局、このみはその体勢のままで、莉緒にテーブルまで連行されたのだった。
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