227:(6) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:05:46.44 ID:E/BVepxA0
「最初の方は、本当に鶴の恩返しと同じなんですね。」
「ええ。青年の前では、本当の自分を隠して振る舞わないといけなくて。……扉の向こうで機を織るときしか、鶴は本当の姿になれないの。」
「難しい役なんですね……。」
呟くように、春香はそう零した。
春香の手の中にある台本は、幾つかのページに付箋が貼ってあるほか、紙の端の方もすっかりよれてしまっている。
このみがどれだけ役と向き合ってきたか、春香には台本を持つ手越しに伝わってきた。
莉緒は、それを横から静かに見ていた。
「……ねえ、このみ姉さん。明日は、上手くいきそう?」
このみは、すぐには答えられなかった。
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