エミリーが忘れた日
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79: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:09:44.45 ID:9pdDfgPfo
 






ジャキン、と擦れた金属の小気味良い音が響いた。
同時に視界がいっぺんに明るくなる。

ふわふわと落ちていったまっすぐな前髪の残りをバサバサと振り払って、私はもう一度エミリーを見た。

「……ァ…………ァ、ァ……」

エミリーは小刻みな息遣いの隙間から言葉にならない声を必死に上げようとして、口をパクパクさせているばかりだった。
私も荒げた呼吸を落ち着かせるだけで精一杯だったけど、それでも彼女から目線を離そうとしなかった。


「《……な、ん、で…………》」


大きくて睫毛の長い、真っ赤に染まった両目をこれでもかと大きくあけて──


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