64: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:52:40.95 ID:9pdDfgPfo
「確かにエミリーが子供の頃の話を忘れてしまってることは確かなんだ。
だから思い出させるために何とかやってみる価値はある、ってとこまでは理解してもらった」
「じゃあ、何でそれを試す前に帰らせるのよ?」
「肝心なその子についての情報が全くないから。 どうやってエミリーに思い出させるかのアテが何もないせいだよ」
俺たちの持っている“よりちゃん”の情報はたった二つ。
エミリーが六歳の頃に出会った日本人だということ、そして前髪がパッツンな、日本人形さながらの容姿だったことだけ。
「今どこにいるのか、何をしているのか、そもそも居所が分かったとして、本人が昔のことを覚えてるのかとか──そんなの、調べようがない」
だからお手上げなんだ、とだけ言って、俺はデスクに向き直りまた頭を抱えた。
「エミリーのご両親は、そのときのことを少しは覚えているらしいけどな」
「…………そうなの」
伊織はそれだけ言ってしばらく考え込んだのち、静かに歩き出してソファに投げ捨てていた自分の荷物を手に取った。
「用ができたから帰るわ。 また明日、プロデューサー」
「えっ? あ、あぁ……またな」
よく分からないままに伊織を見送る。いきなりだったので何が何だか分からないが、それ以上深く考えることもなかった。
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