47: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:44:28.92 ID:kcSV+mvpO
銀杏の傍のベンチに、二人で腰を下ろした。
「最近一気に肌寒くなってきたよねー」
48: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:44:59.28 ID:kcSV+mvpO
「Pさん、そんなに期待してたんだ」
「うん? 何だ急に」
49: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:45:44.30 ID:kcSV+mvpO
「けど、期待してたことよりもさ……」
「うん」
50: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:47:04.66 ID:kcSV+mvpO
形容出来ない感情で胸が一杯になって、俺は息を大きく吸い込んだ。
そして息と共に言葉を吐き出す。
51: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:47:36.66 ID:kcSV+mvpO
しばらくそのままでいると、周子が肩を寄せてくる感触が、腕を通じて伝わってきた。
彼女の動きは夏にじゃれついてきた時のそれと比べるとより柔らかく、そしてより優しいものだった。
52: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:48:22.76 ID:kcSV+mvpO
静かな声で周子が語りかけてくる。
「Pさんのその苦しさ、あたしはきっと分かってあげられない。だって……あたしはアイドルだから」
53: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:48:58.52 ID:kcSV+mvpO
目を開くと、周子は温かく微笑んでいた。それから俺の腿を左手でピシャリとはたいて言う。
「さーて。Pさんの足腰もしっかりしてきたようだし、そろそろ帰ろっか」
54: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:49:34.79 ID:kcSV+mvpO
真面目に話していたかと思えば、急にこんな訳の分からない会話を始めて。
気が塞いでいたはずなのに、俺は思わずくすりと笑ってしまった。
目をやると周子も、隣でニヤニヤ笑っている。
55: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:50:21.28 ID:kcSV+mvpO
「……Pさんがまだ帰りたくない気分なら、何処でも付き合うけど?」
こちらをさりげなく気遣うように周子がそう言ったので、俺は肩をすくめておどける。
56: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:51:09.31 ID:kcSV+mvpO
一瞬、時間が止まったように感じた。
真意が分からず、俺は思わず訊ね返す。
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