44: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:42:42.40 ID:kcSV+mvpO
「フラッフラやん。ほら、こっちおいでー」
笑いを噛み殺しながら、周子は俺の腕を引く。そのまま彼女は、半ば俺の肩を支えるようにして隣を歩いてくれた。
45: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:43:10.84 ID:kcSV+mvpO
周子の問い掛けに、少し時間を置いてから返事をする。
「まぁ、ちょっとはな」
46: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:43:48.96 ID:kcSV+mvpO
「結果論に聞こえるけどなぁ」
「かもな。けど……やっぱり俺の落ち度だ」
47: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:44:28.92 ID:kcSV+mvpO
銀杏の傍のベンチに、二人で腰を下ろした。
「最近一気に肌寒くなってきたよねー」
48: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:44:59.28 ID:kcSV+mvpO
「Pさん、そんなに期待してたんだ」
「うん? 何だ急に」
49: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:45:44.30 ID:kcSV+mvpO
「けど、期待してたことよりもさ……」
「うん」
50: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:47:04.66 ID:kcSV+mvpO
形容出来ない感情で胸が一杯になって、俺は息を大きく吸い込んだ。
そして息と共に言葉を吐き出す。
51: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:47:36.66 ID:kcSV+mvpO
しばらくそのままでいると、周子が肩を寄せてくる感触が、腕を通じて伝わってきた。
彼女の動きは夏にじゃれついてきた時のそれと比べるとより柔らかく、そしてより優しいものだった。
52: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:48:22.76 ID:kcSV+mvpO
静かな声で周子が語りかけてくる。
「Pさんのその苦しさ、あたしはきっと分かってあげられない。だって……あたしはアイドルだから」
53: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:48:58.52 ID:kcSV+mvpO
目を開くと、周子は温かく微笑んでいた。それから俺の腿を左手でピシャリとはたいて言う。
「さーて。Pさんの足腰もしっかりしてきたようだし、そろそろ帰ろっか」
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