17: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:25:03.30 ID:kcSV+mvpO
「あー……それはどうも」
「Pさんはどうなん」
18: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:25:40.31 ID:kcSV+mvpO
「嫌いなわけないだろ」
「ほんと?」
19: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:26:18.40 ID:kcSV+mvpO
コンビニを出た俺達は公園に足を踏み入れていた。数ヶ月前と同じように、時計はぽつねんと立っている。
日付の変わったばかりの砂場には、人っ子一人いなかった。
20: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:26:49.25 ID:kcSV+mvpO
周子がアイスを食べ終えて、そのゴミまでしっかり俺に手渡してきた直後のこと。彼女は突然大声を出した。
「あーっ!!」
21: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:27:16.16 ID:kcSV+mvpO
より正確に言うと、ブランコは修繕されたようだった。所々錆の付いていた支柱は青いペンキで塗り直され、座面へ繋がる鎖は新しいものに取り替えられていた。
まだ修理して間もないのだろうか。あまりに鮮やかな青色の遊具は、この公園の中で少し浮いているようにさえ見えた。
22: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:27:44.67 ID:kcSV+mvpO
「この年になって遊具を使うとはなぁ」
「んはははっ! ええやん、何か哀愁感じるよ?」
23: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:28:14.74 ID:kcSV+mvpO
しばらくの間ゆらゆらとブランコを漕いでいた周子はぴたりと止まり、口を開いた。
「大人になるとさぁ、出来なくなることが増えるよねー」
24: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:28:51.89 ID:kcSV+mvpO
「それも少しは増えるけどさ。ほら、お酒飲めるのも、大人だからこそ出来ることだもんね」
「そうだな」
25: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:29:32.48 ID:kcSV+mvpO
そこまで言って、また周子はゆらゆらとブランコを揺らし始めた。
あれは何年前になるだろう。大人と子供の境の頃、俺自身も同じように抱えた得体の知れないやるせなさ。
そんなかつての感情が、周子の言葉と重なった。
26: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:30:14.33 ID:kcSV+mvpO
「夜中にブランコ乗るとか、公園でだらだらアイス食べるとかさ……」
「えっ?」
27: ◆RZFwc/0Dpg[sage saga]
2019/05/31(金) 22:30:53.65 ID:kcSV+mvpO
「──けど少なくとも、それが出来る今の間は。いくらでも付き合うからさ」
そこで言葉を切って、周子の返事を聞かないままブランコを漕いだ。
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