127:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:12:21.29 ID:YWfCY9A20
9
晩秋の夜空は空気が澄み、晴れ渡っていた。
花咲川女子学園の屋上に昇ったPoppin'Partyの五人は、揃って空を見上げる。十一月半ばの空気は少し冷え込んでいて、多少の厚着をしてきたけど、それでもやっぱり肌寒い。「寒いねー」なんて言いながら肩を寄せ合う。その輪の中に沙綾も入って、星を見つめていた。
香澄からの歌で、誤魔化せない自分の気持ちと向き合ってから一週間が経っていた。歌を届けられてから今日までのことを、瞳を閉じて脳裏に呼び起こす。
「みんな……今まで本当にごめんなさい」
という風に、カスミを始め、Poppin'Partyのみんなに謝ったこと。
「それから、ずっと気にかけてくれてて、本当にありがとう」
続けて、改めてお礼を言ったこと。
そんな沙綾を見て、カスミたちは笑った。「元気になってくれてよかった」と言って、今までと何にも変わらずに接してくれた。
みんなが温かくてまた自分のことが情けなくなったけど、今はもうその暗い気持ちを引きずることはしない。泣き虫で抱え込む自分だけど、香澄がくれた歌のように、何度でも前を見るようにすると心に決めていた。
それから、もうひとりの自分とのやり取りで、星を見ようと約束したこと。カスミはその話を聞くと「うん、分かった!」とあっさりと頷いてくれて、みんなの時間がある日を決めて、天文部に所属する友達に話をつけて学校から許可を貰ってきてくれた。
そして今夜、きっと違う世界の同じ時間に、自分のよく知るポピパのみんなともうひとりの私が、同じ夜空を見上げている。そう思うと、沙綾はふたつのバンドのみんなでこの場所にいるような錯覚をおぼえる。
189Res/213.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20