17:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:14:30.04 ID:ERzHuNUU0
『恋』は、私だけには解決できない課題だと思った。だから明日はユニットのみんなに聞いてみよう。
うん、それがいい。私だけじゃ分からないもん。私だけでコラムを書いてくれなんて言われてないもん。
あっ、そうだ。
18:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:15:16.38 ID:ERzHuNUU0
◆◆◆
「夏葉ちゃん!」
「あら智代子、おはよう。朝から元気ね」
19:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:15:47.60 ID:ERzHuNUU0
まあ分かってたこと。哲学的で難しい問いかけだもんね。
「まさかあなた……好きな人でもできたの!?」
「ち、違うよっ!」
20:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:16:25.47 ID:ERzHuNUU0
「へぇ意外ね」
「意外?」
「そう、意外だわって思ったの。智代子がそういうの積極的にやるなんて」
21:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:16:55.55 ID:ERzHuNUU0
「この経験がいつか身を結ぶかもしれないわね。これから私たちは有名になるもの」
夏葉ちゃんの宇宙の深淵のように輝く瞳に吸い込まれるぐらい、彼女に凝視されている。
「私たちはアイドルとして恋の歌を歌うかもしれない、私たちが女優として恋する少女の役をするかもしれない。その時、あなたはもう『恋』というものを知っている。あなたはそれを歌い、演じるのに有利になるのよ」
22:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:17:41.25 ID:ERzHuNUU0
「智代子。私たちにはそのような未来が訪れる。だから、その時はあなたが私たちに『恋』をした時の感情を教えてほしいわ」
「……うん!」
分かったことがある。
23:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:18:33.03 ID:ERzHuNUU0
「でも、その出版社の方はよく智代子を選んだわね」
「えっ? それはどうして?」
「だって智代子は感情豊かだもの」
24:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:19:05.31 ID:ERzHuNUU0
自信満々だ。嘘なんかついていないって、本心でそう言ってるって分かってしまうほど、優しく心強い。だから、本当に嬉しい。
気持ちがパーっと華やかになって心が温かくなる。じわーっと熱が広がる。
「自信を持って書いてみなさい! 感情豊かなあなたならきっと良い答えにたどり着けると思うわ! そう思ってあなたにオファーを出したのよ。私はそう思うわ」
25:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:19:40.93 ID:ERzHuNUU0
文章の方向性を決められる気がする。
あっ……、そうだ。だったら、みんなの『恋』にしよう。そしてそれを聞いて、私が『恋』がどんなものか、自分の『恋』を最終的に見つけ出す。
いいんじゃないかな? 面白そう!
26:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:20:14.35 ID:ERzHuNUU0
「……そうね、アイドルかしら」
「えへへ、やっぱり!」
「なによ、分かってたんじゃない。そうよ、私は今アイドルに恋しているわ。いま、自分自身を高められる存在だもの。でも、好きなのはそんな私だけじゃない」
27:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:20:53.27 ID:ERzHuNUU0
夏葉ちゃんの頬がほんのりと赤くなってる。
「智代子。恥ずかしいから見ないでちょうだい」
「えぇと、ご、ごめんねっ!」
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