千歌「ポケットモンスターAqours!」 Part2
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◆tdNJrUZxQg
[saga]
2019/05/13(月) 03:54:24.00 ID:SDtZ71oz0
千歌「……どうして」
聖良「?」
千歌「どうして、こんな力を持ってるのに、それを誰かが哀しむ使い方をするんですか……!!」
聖良「……この期に及んで、説教ですか」
千歌「これだけの強さ……もっと他の使い方をすれば、もっといろんなことが出来るはずなのに……!」
聖良「そうかもしれませんね。ただ、私たちの目的がそういうこととは噛み合わなかった。ただ、それだけです」
千歌「その目的は、ポケモンを、人を犠牲にして、そこまでして叶える必要があるんですか……!?」
聖良「……そこまでする理由が私にはあるんです」
千歌「どうして……!!」
聖良「……千歌さん、貴方は幸せに生きてきたんですね」
千歌「……しあ、わせ……?」
聖良「世の中には、どうしようもない境遇の中で、気付けば全てを理不尽に取り上げられるしかなかった人も居る。親を失い、住む家も、毎日の食事にすら満足にありつけず……生まれてきたことを恨み、世界を憎み、生きるために強くなるしかなかった人間も居るんですよ」
千歌「……っ……だとしても、それは誰かを傷つけていい理由にはならないよ!!」
聖良「その通りです。これが良い事だなんて、ハナから思っていませんよ。それでも、私は目的のためなら、鬼にでも悪魔にでもなると、決めたんです。大切なものをこれ以上取りこぼさないために……」
千歌「それで得たものに本当に価値なんかあるんですか……!?」
聖良「それは、手に入れてみないとわからない……。ただ、何も知らず、何も出来ず、何も望めず、諦めるしかないまま、ただ失うなんて……バカらしいじゃないですか」
千歌「だから……!! それを皆で手を取り合って探せばいいって、言ってるんじゃないですか……!!」
聖良「……この話は平行線ですね。無意味です。裏切りからも、孤独からも無縁に生きてきた人間にはわかりませんよ」
千歌「……それはポケモン相手でもですか……!?」
聖良「…………」
私の叫びに聖良さんの動きが一瞬止まる。
千歌「確かに意地悪なことをしてくる人が世の中にいるのくらい私も知ってる……どうしようもないことしてくる人とか、嫌なことを言われることもある。そういうとき悲しくなったり、腹が立ったりする気持ちもわかる。でも、それはポケモンに対してもそうですか……?」
聖良「……何が言いたいんですか?」
千歌「人間みたいに、人の言葉を喋れるわけじゃないポケモンたちにも……同じように、恨みや憎しみを感じるんですか……?」
聖良「それは……」
千歌「……ツンベアーも、マーイーカも、フリージオも、プテラも、ヤミラミも、サメハダーも……聖良さんのことを信頼してるから、ここまで力を発揮出来る。それは聖良さんも同じで、自分のポケモンたちを信頼してるからじゃないですか……?」
聖良「…………」
千歌「寂しいとき傍に居てくれて……悲しいときは寄り添ってくれる……そんなポケモンたちを……信頼出来る仲間たちを傷つけてまで……やらなくちゃいけないことなんですか……?」
聖良「……うるさい」
千歌「……!」
聖良「……どうして、貴方にそんなことを説教されなくてはいけないんですか……? 何度も言ってるじゃないですか、恵まれて生きてきた貴方には何も──」
千歌「──私は……!!」
ただ、叫ぶ──自分が見てきた景色を、想いを伝えるためだけに、
千歌「世界は……!! いつも私たちが生まれてくるのを待っていてくれてると思う……!! 一緒にいるポケモンたちも、親しい人たちも、更に繋がる人もポケモンも、みんな望まれて生まれてくるから……!! 大切って想い合える存在なんだって……っ!!」
聖良「…………」
千歌「辛いこと、悲しいこと、いっぱいある。理不尽でやるせなくて、どうしようもないこともある……それでも最初はみんな誰かに望まれて生まれてくるんだよ……!! きっとそれは聖良さんたちも同じだよ……だから、どんな理由があっても、それを奪う権利なんて誰にもない……!!」
聖良「綺麗ごとを……」
千歌「もう、やめようよ……誰かから奪って手に入れたものの先に……明るいものなんて何もないよ……私たちにも、聖良さんたちにも、ポケモンたちにも……妹さんにも──」
聖良「黙りなさい」
千歌「……っ!」
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