千歌「ポケットモンスターAqours!」 Part2
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◆tdNJrUZxQg
[saga]
2019/05/13(月) 03:32:49.76 ID:SDtZ71oz0
■Chapter076 『決戦! グレイブ団ボス・聖良!』 【SIDE Chika】
──やぶれた世界。
千歌「や、やっと……辿り着いた……」
私は上下左右がデタラメなこの世界にて、やっとの思いで果南ちゃんの元へと辿り着いたところだった。
果南「千歌……お疲れ様」
千歌「ここホントに無茶苦茶だよぉ……ムクホークで“おいかぜ”しても、風が吹く方向がめちゃくちゃで……」
果南「ホントにね……」
果南ちゃんも随分苦戦してるようだった。
果南「目に見えてることと、実際の向きがぐちゃぐちゃなのは正直困る……。……って、何してんの千歌?」
千歌「んー……ここまで近いと向きはあんまり関係ないんだなって思って」
果南ちゃんの前で右に左に踏み出したり、足を戻したりしてみるけど、この距離だとちゃんと思ったとおりに果南ちゃんに近付いたり離れたり出来る。
果南「距離が関係してるのかな……? 離れるほど、無茶苦茶になるとか。ヌオー、出てきて」
「ヌオー」
そう言って果南ちゃんはヌオーをボールから出す。
果南「“マッドショット”」
「ヌオー」
ヌオーが地面に手を付くと、泥の塊が飛び出す。
その泥たちはある程度の距離まで直進した後──急に進行方向を逸れて、右に行ったり左に行ったりしながら遠ざかっていく。
千歌「確かに……近くにある間はちゃんと前に進むみたいだね」
果南「“マッドショット”自体はちゃんと直進してるんだと思うんだよね。だから、私たちも前に進むと、あの泥とかと同じように右に行ったり左に行ったりするんだと、思う。たぶん」
果南ちゃんもこの空間の仕組み自体は苦手みたいだけど……私よりは長くいる分、ずっと考えてはいたみたいだ。
千歌「うーん……でも、それがわかってもなぁ……。せめて、風が目に見えれば」
果南「風……? どういうこと?」
千歌「あ、えっと……“おいかぜ”を使うと背中側から前に向かって、風が吹くでしょ? だから、“おいかぜ”の吹いてる方向さえ目に見えれば、前はわかるかなって」
果南「……それだ」
千歌「え?」
果南「千歌、もう一度“おいかぜ”出来る?」
千歌「う、うん。ムクホーク、“おいかぜ”」
「ピィィィ!!!!!」
傍らで待機していた、ムクホークは翼を羽ばたかせて“おいかぜ”を発生させる。
果南「よし、ヌオー。“あまごい”」
「ヌオー」
今後はヌオーが鳴きながら、欠伸をすると、ポツポツと雨が降り出す。
それはすぐに強い雨へと変わって行き──
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