4:名無しNIPPER[saga]
2019/05/08(水) 18:17:42.43 ID:ED3vW4kA0
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気が付くと僕は事務所のソファで仰向けになっていた。おっといけないと思いつつ上体を起こしたところで、下半身を襲う不快感と臭いが、美波との出来事が事実であることを告げていた。
僕は絶望に暮れたが、ふとソファの横に置かれていたテーブルに目をやると、一枚の紙とトランクスが置かれてあった。いつの間にか美波は帰ってしまったようだった。
『父の物ですが、一応持ってきておいて正解でした。良かったら使ってください。 美波』
まさかアイドルが自分の父親のパンツを事務所に持ってくるとは、僕はまったくもって考えたことも無かったのでトランクスを摘まんでまじまじと眺める。
とはいえ下半身に不快感を覚えたまま仕事するのは精神衛生上よろしくないし、強烈な臭いを伴ったまま家路に着く為の電車に乗るのはもっとよろしくないので、敵から塩を送られてプライドを傷つけられたような気持ちで誰もいなくなった事務所でズボンとパンツを下ろした。
「あの、Pさん……まだ事務所にいますか……?」
ガチャリと音を立てて事務所のドアが開いた。そこには、ドアノブに手を掛けたままの三船美優が、情けない姿で下半身を露出させて屈んでいる僕の姿を凝視していた。
だが、僕はプロデューサーだ。そんなことで動揺していてはアイドルにも不安を覚えさせてしまう。平静を装い、屈んでいた背筋を正して彼女に視線を合わせた。
「すみません美優さん。少しトラブルがあって――」
そして、僕は絶望した。目の前にいる彼女――三船美優の頭から、美波と同じ角が生えていて、衣装もこれまたとんでもないことになっていた。
ゆっくりと近付いてくる彼女に、僕はすべてを諦めて体をソファに投げ出し、恥となっている下半身を隠すこともせず天井の明かりを見つめるのだった。
おしまい
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