66: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/05/02(木) 02:30:47.89 ID:P8JEUw1x0
◆◆◆◆
―― 夜市 広場
相変わらず、どこからどう入ったのかわからないところに、その「夜市」はありました。
私は文香さんに連れられて参道を進み、明るい夜の中を歩きます。
今日のところはみんな店じまいみたいで、出店を片付け、思い思いの時間を過ごしているみたいでした。
「……お茶会は、市が終わった後に行われます。こちらです、どうぞ……」
導かれるまま辿り着いたのは、神社の境内みたいな玉砂利の広場。
中心にささやかなテントと、お洒落なテーブルにカウンターが揃っていて、広場の向こうには――
「わぁ……さ、桜……!?」
見上げるほど巨大な、桜の老木が聳え立っているのでした。
不思議なことに、花は今でも満開でした。
五月の夜空に薄ピンクの雲がかかり、風に散る花弁は、夜市の灯りを受けてぼんやり浮き上がって見えました。
不思議だけど、綺麗……。ついつい足を止めて、見惚れてしまいます。
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