32:名無しNIPPER[saga]
2019/04/24(水) 20:57:55.66 ID:AEVT7W6Z0
けれど、ふと目を向けると美也さんは常に、少し離れた位置に立っていた。
目が合うとにっこり笑い、私を激励するように両手の拳をぐっと握ってみせたりもした。
そして今、公演が始まってからも、
ステージ裏で出番を待つ私と美希さんを少し離れた位置から見ていた。
……彼女は、どんな思いでここに立っているのだろう。
悔しい気持ちはないのだろうか。
公演を諦めなければならないと知った時の彼女は、確かに残念そうな顔をしていた。
けど、もう残念な気持ちも薄れていて、だからあんな風に穏やかに笑っていられるのだろうか。
美希「志保? どうかしたの? もしかして、緊張してる?」
志保「え? あ……いえ、大丈夫です。少しだけ緊張はしていますけど、問題ありません」
いけない。
今は余計なことを考えている暇はない。
もうすぐ前のステージが終わる。
私のステージが始まるんだ。
52Res/37.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20