15:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 14:40:26.23 ID:i/o/WJrU0
右京「しかし、どうして君が、吉田先生殺害の容疑者に?」
手塚「それはですね……」
「あ、一課の刑事さん達。今から話しますんで、しっかり聞いてて下さい」
手塚は右京の問いに答える前に
彼らの後ろにいた伊丹と芹沢にも声をかけると、ここに来るまでの経緯を説明する。
まず最初に彼は、今日の午前1時ごろ、自宅の電話に奇妙な電話がかかってきたことを話す。
電話をかけてきた何者かは、鼻を摘まんだような男の声で……
『今すぐ近くの公園に来い』
『お前の過去について、話したい事がある』
と、言ってきたそうである。
手塚「それで言われたとおり公園に行ってみたら、同じ学校で働く『吉田敏行(よしだ としゆき)』先生が死んでいたんです」
「胸には矢が刺さっていて、現場にもボウガンが落ちていました。思わずそれを拾った僕は、確信しました」
「『吉田先生はこれで殺されたんだ』って……」
右京「…………」
手塚「それからすぐに、そちらの刑事さん達を呼んだのですが…」
「ボウガンを持ったままなのがいけなかったのか、前科ありの人間と明かしたのがいけなかったのか、そのまま取っ捕まっちゃいましてね」
「しかし、僕みたいな人がいくら容疑を否認しても、絶対信じてくれない」
「だからここは、16年前にお知り合いになった、あなたに話すのが適当と判断しました」
「というわけで、刑事さん達……今回、僕は殺していませんよ」
無実を主張する手塚守。
しかし、特命係の2人を含めたその場にいる警察官全員は、何も言わずに彼を見ている。
手塚「…やっぱり、信じてくれるわけないですよね」
「けど、嘘は言っていません。調べてみれば、分かると思いますよ」
右京「それはつまり…我々に自分の無実を証明しろと?」
手塚「あなた達特命係って、そういう所なんじゃないんですか?」
「あれから色々調べましたよ。捜査権は持っていないけど、特別に与えられた命令はなんでもやるって」
「この頼みだって、特別な命令に相当するはずですよ」
右京「…………」
しばし無言で見つめ合う2人。
手塚の目をジッと見据えた右京は、何かを理解したかのように「……分かりました」と言って席を立った。
右京「冠城君、行きましょう」
冠城「あ…はい」
「じゃあお二人とも、後はどうぞお好きに…」
そのような台詞を残し、冠城は上司とともに部屋を後にした。
それと入れ替わるように、伊丹が乱暴に椅子に座りながら、手塚を睨む。
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