4:名無しNIPPER[saga]
2019/04/19(金) 00:08:00.49 ID:ag3VAWFs0
と、男は手刀をもって女の首筋のあたりに打ち込んだ。
が、しかし、何の手ごたえもない。男の手刀は空を切っていたのだ。
「言ったでしょう?修行をしたって……」
女の声が、男の背後から聞こえてきた。慌てて振り向くと、そこには既に鯉口を切った女がいた。
「や、これは……」と、男は気合を入れなおす。女から発せられている殺気が、ぴりぴりと男の肌に突き刺さったのだ。
いま男の目の前に居る女は、かつて男によって守られてきた者とは別人。そう、彼女は一人の剣客であった。
男は、後ろへと飛び退って女との間合いをとった。
そうして、愛刀国綱を正眼に構える。
「貴方は私が守護る」
女もまた、きらりと備前兼光の大刀を抜いた。
すっと、上段に構えられた刀からは、女の持ちうる内気が立ち昇っている。
男は、呼吸をととのえ、気力の充実を確信し、女との間合いをせばめた。
女の上段構えから繰り出されるであろう、打ち下ろしを避け再度、女の首筋に剣戟を与える。その腹積もりであった。
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