【たぬき】神谷奈緒「あたしの髪には何かが棲んでいる」
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71: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/04/17(水) 01:53:30.20 ID:n5WgkvMD0

   〇


「まさか東京でも空を飛ぶことになるなんてなぁ……」
「これほんとに大丈夫なわけ? 落ちたりしないよね?」
「どこまで行くんだろう……」

 気が付けば、だいぶ高いとこまで舞い上がっていた。
 川の上とか橋とかそんなレベルじゃない。東京を見下ろすほどの高さ。どんな高層ビルよりも高い空を、ふよふよ泳いでいる。

「大丈夫だ。こいつらはもう、どっか行ったりとかはしないよ」

 ――だろ?

 もふもふやわらかな白いのを撫でると、ケサランパサランの雲はくすぐったがるように揺れた。
 あたしらは、空のちょうど中間にいた。
 西には朱色の残滓が、東には藍色の宵闇があった。見え始めた星と月がまたたいて、夜の訪れを告げていた。

 眼下には夜モードに切り替わりつつある東京の夜景。
 おもちゃ箱をぶちまけたような雑多な光でも、よくよく見れば街のかたちがわかる。




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