【たぬき】神谷奈緒「あたしの髪には何かが棲んでいる」
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62: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/04/17(水) 01:39:47.07 ID:n5WgkvMD0

 落ちた汗があたしの頬で弾けた。その熱を感じて目頭が熱くなる。
 あんなに必死になって。いつも運動不足だって言ってたくせに。

 ぶら下がったまんま、あたしはあたし以外が無事であることを心底願った。


「もういいよ! アンタが大事なんだよぉ!!」
「そんなのお互い様だろ!!」


 握る手に力がこもる。絶対に離さないと全身で言っているみたいだった。
 腕二本分の距離を隔てて見つめ合う。彼の顔が、いきなり強張る。


「あ゙」
「……『あ゙』?」
「あ、足が……攣った」
「運動不足っ!?」

 踏ん張る足が力を失う。手だけは握り合ったまま、とうとうプロデューサーさんの体まで、欄干からずり落ちた。
 一瞬、二人と綿毛が重力に引かれて――




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