【たぬき】神谷奈緒「あたしの髪には何かが棲んでいる」
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38: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/04/16(火) 02:04:45.19 ID:fzUqSW1/0

 じゃあ、今度はあたしが連れてってもらうよ。

 そう言おうとしたとこで、向こうを歩いてるお兄さんたちがこっちを見た。


「なあ、あれってアイドルの――」


 …………やっべ!!

 こっちが締めくくるより魔法が切れる方が早かった。
 さすがにいつまでもバレないままとはいかなさそうだ。
 ごまかすか、どうしよう、と逡巡するあたしに一歩踏み込んで、プロデューサーさんが耳元で言う。

「走れっ」

 弾かれたように、走り出した。
 お兄さんたちにはゴメン。今はマズいんだ。
 後ろでちょっとだけ騒ぎが起こって、もうこっちは必死だった。とにかく人目のないとこに、あと人にぶつからないように、全力ダッシュだ。

 でもお互いの歩幅は違って、走っていても差は徐々に開いていく。
 まずいと思ったところで、彼の手があたしの手を握った。

 走る。走る。走る。長い髪が広がる。目の前にあの人の大きな背中。
 風になびく髪の端から、白く光るものがこぼれ出て。二人の走る軌道に残り――




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