【たぬき】神谷奈緒「あたしの髪には何かが棲んでいる」
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37: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/04/16(火) 01:56:41.27 ID:fzUqSW1/0

   ◆◆◆◆


 気が付けば、夕方だった。

 こんなに早く時間が過ぎたのは初めてだ。
 いつしか緊張も吹っ飛んで、あたしは園内を制覇する勢いでプロデューサーさんを引っ張っていた。

 結局、「観覧車に乗りたい」とは言い出せないままだったけど。

「……っっはぁ〜! 遊んだなぁ〜!」
「だなぁ。資料も手に入ったし、一石二鳥だ」
「へへっ、あたしに感謝したっていいんだぜー?」

 でも、もう夕方。そろそろ帰る時間だ。
 名残惜しくないと言えばウソになる。明日になったらいつも通りの生活で、いつも通りのアイドルで。
 仕事は楽しくて、事務所のみんなも好きだけど……二人の時間はもうおしまい。

 プロデューサーさんはあたしだけのプロデューサーじゃない。それはわかってるけど……。

「しかし、なんだな。カメラ持ってきゃ色々言い訳できるかもしれん。これは発見だぞ」
「ん? ……何が?」
「資料のためって名目なら、次は会社から経費引っぱれるかもしれないぞってこと。ちひろさんさえ説得できればな」
「次……」
「まだ乗ってないやつあるしな。一回でおしまいはお互い嫌だろ」

 …………………………。

 もふふんっ!!

「また髪が増えた!?」
「なんでもないっ。もふもふの気分になったんだ!」

 ……さらっとそういうこと言うんだからなぁ……。
 でも、次か。
 経費がどうこうはさておいても、もし次があるなら、それは……嬉しい。嬉しいことだ、うん。




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