荒木比奈「貴方が居る、其れだけで浮かぶ」
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2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/04/09(火) 00:31:18.58 ID:Tnjuxph+0
「う゛ぁ……」

喉を開く。エアコンのせいで空気が乾燥して、口の中も渇いている。ベタベタする、水気が足りない感覚だ

ジャージは汗を吸って、緑色を濃くしている。着替えたいけど、着替えたくない。体を動かすのがおっくう

電子音が鳴った。脇から体温計をもぞもぞと出す。

「……38度6分」

普段の体温よりずっと高い。あーこれ結構しんどいやつだ。

アラームを止めたばかりのスマホを手にとって、電話帳から事務所を探す。休みを伝えるときの電話って、なんでこう他にないような緊張をするんだろう

事務所に電話をかけた。ちひろさんが出た。休みたいと伝えると、あっさりOKが出た

「はい……はい……ありがとうございまス……それでは……」

スマホを置いて、またベッドに倒れた。熱くて寒くて頭が痛む

病院に行きたい。でもタクシーを呼ぶ元気もない。一人暮らしはこういうときに不便。

「………………」

どれだけ体をもぞもぞと動かしても、頭の痛みと、ほんの少しの寂しさが消えていかない。ああ、風邪引いたときはこういう気持ちになるからいやなんだ

スヌーズでスマホがまた鳴った。止めようとして画面をのぞき込んだ。それから落ち込んだ

液晶に、今日の日付が映されている。4月9日。私の、21歳の誕生日だった


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