理樹「この間、いきなり知らない人に抱きつかれてさ」恭介「なに?」
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25:名無しNIPPER
2019/04/12(金) 00:17:34.81 ID:x7B2k41w0
理樹(弁当箱を開けると、卵焼きやキンピラごぼうが顔をのぞかせた)

理樹「凄いな。これ本当に食べていいの?」

佳奈多「要らないならいいわよ」

理樹「いや・・・」

理樹(口の中から思い出したかのように唾液が流れ出てきた)

理樹「いただきます・・・」

パクッ

理樹(朝に漫然と口に入れていたものとは全然違った。食堂で食べるものもそれは美味しいものだけど、なんというか二木さんの作ったこれは、まるで遠い昔に亡くしたお母さんが作ってくれたもののような・・・)

ポタポタ・・・

理樹「凄く美味しいねこれ・・・わざわざ作ってもらって悪いな・・・」

理樹(そう口にしてからようやく『自分のためだけに作ってもらった手料理』をもう何年も食べてなかったことに気付いた)

佳奈多「別に、ついでに作ったものだから・・・って、直枝・・・」

理樹「えっ?」

理樹(振り返ると二木さんが神妙な顔つきでこちらを見つめていた)

佳奈多「・・・なんで泣いているの?」

理樹「え、うそ・・・」

理樹(頬をこすると確かに涙が出ていた。まったく気づかなかった)

理樹「な、なんで・・・」

理樹(言葉を続けようとした瞬間、まるでタイムラグのように心臓の鼓動が急に早くなった)

理樹「ううっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

佳奈多「直枝!」

理樹(涙の勢いが増して、息遣いも荒くなってきた。それに引っ張られるように心が苦しくなってくる)

理樹「大丈夫・・・グスッ・・・これは・・・」

理樹(まるで詰まっていた濁流が押し寄せるように今までの気持ちが心にぶつかって来た)

佳奈多「どうしたの!弁当が原因!?」

理樹「違うんだ二木さん・・・ただ、少し挫けそうになってて・・・!」

理樹(その台詞で急にこの前にあったおじさんの事を思い出した。そうか、あの人もこんな風に考えていたのかもしれないな・・・周りの人に打ち明けても効果はなく、それでいて誰かにこの気持ちを理解してほしい。そう思ってあの人は・・・)

理樹「ねえ、二木さん・・・」

佳奈多「な、なに?」

理樹(僕は珍しくおろおろしている二木さんへ唐突にハグをした)

佳奈多「!!」


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