【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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9: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/03/23(土) 23:25:48.08 ID:cpswsJVq0


華はもう、何も言い返すことが出来ず、悲しみに目を逸らしてしまう。

先ほどまで支えていた優花里に、今度は支えられるようにその身を預けてしまう。

その様子にみほは満足げに頷くと、沙織たちの知っている『エリカ』のように優しい声を出す。


エリカ「大丈夫よ。決勝さえ勝てれば学園艦は守られるから。みんなだってそれはもう知っている。だからきっと私の事も受け入れてくれる。それで、いいのよ」


これでもう話は終わり。そう言わんばかりにみほはまた沙織たちに背を向ける。

しかし、


沙織「……西住さん。きっと、エリカさんはあなたにそんな事して欲しくないよ。ちゃんと、自分の人生を生きて欲しいって思ってるよ」


沙織の呆れたかのような、吐き捨てるかのような言葉がその背中に突き刺さり、みほが振り返る。

その顔に浮かぶのは、怒りだった。


「……あなたに、あなたに何が分かるの?あなたがエリカさんの、何を知ってるの?」

沙織「……私は、エリカさんと会った事無いよ。顔も知らない」


淡々と、何を分かり切った事をとでも言いたいかのような沙織の言葉にみほは更に苛立つ。


「ならっ……勝手な事言わないでっ!私のほうが、ずっと……ずっとエリカさんを良く知ってるっ!」

沙織「それなのに気づいてないからだよ。……ううん、きっと気づいてるはずなんだ。西住さん、あなたの見てきたエリカさんはホントにそんな人だった?」

「私よりも、エリカさんがいるほうが正しいんだよ」

沙織「そんな話していない。正しいとか、正しくないとか、そんなのどうでもいい。

   私は……西住さん、あなたの言葉が聞きたいの。あなたの知っているエリカさんは、あなたがエリカさんのフリをして喜ぶような人だった?

   あなたが、そこまでして生きていて欲しかったエリカさんは、本当にそんな人だった?」

「っ……」


沙織がみほに近づく。

鼻先がぶつかりそうなほど顔を寄せて、逃げる事も、誤魔化す事も許さないと言葉に力を籠める。


沙織「答えて」


沈黙が彼女たちの間に流れる。

みほを見つめる沙織の瞳は揺らぐことが無く、耐えきれなくなったみほは目を逸らす。

そして、絞り出すかのようにかすかな声で、


「……それでも、私にはもうこれしか無いんだよ」


そう言って今度こそみほは去って行く。

その背中は何もかも拒絶していた。きっと、他でもない自分自身も。

だから沙織は追わなかった。

今の彼女にこれ以上何を言っても通じないと思ったから。





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