【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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394: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/07/22(月) 02:44:30.71 ID:0JjIDz+w0





大洗の試合開始地点。

居並ぶのは激戦を乗り越えてきた8輌の戦車。

その中の一つ、青いフラッグを掲げたW号の中でみほはじっとうつ向いていた。


まほの事、小梅の事、試合が終わった後の事。そして―――エリカの事。

それら一つ一つがみほにとって命に係わるほどの重大な事項だ。

だから、今だけは必死でそれらを考えないようにする。

歯を食いしばり、必死で今だけを考える。

今考えるべきは決勝の事。この試合で全てが決まる。全てが、終わる。

精神統一だなんて言えば聞こえはいいが、結局のところみほがやっているのはただの現実逃避だ。

目先の決勝に意識を向ける事でなんとか自分の内心を取り繕おうとしているに過ぎない。

だけど、今のみほにはそれしか出来ないのだ。


自分を受け入れてくれたみんなのために出来る限りの事をしたい。

みほにとって大洗は居場所ではない。

だけど、そこに住む人たちは優しい人たちだった。

だから、この決勝に勝って彼女たちに報いたい。

全てが終わった時、全てを失うとしても。


沙織「みほ」


みほが悲壮な覚悟を決めた時、無線機と向き合っていた沙織がこちらを振り向く。


沙織「みんな準備完了だって」


その言葉に車内の緊張が強くなるのを感じた。

優花里は唇をかみしめ、華は思い詰めるように目を閉じて、麻子はどこか落ち着きなく体を揺らす。

そして沙織は―――じっとみほを見つめる。

それを受けて、みほはそっと立ち上がると、車外へと顔を出す。

すると、各車両の車長たちも同じように顔を出してみほを見つめてくる。

緊張は伝播する。隊長である自分が固まっていてはみんなも同じようになってしまう。

みほは自分の頬を叩いて緊張を追い出す。

そんなみほを鋭い視線を突き刺してくる梓と、逆に心配そうに見つめてくる桃の二人に少しだけ、みほの内心は穏やかになる。





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