【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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391: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/07/22(月) 01:48:44.23 ID:0JjIDz+w0




挨拶が終わり、両校の生徒がスタート地点へ向かおうと離れていく。

まほも、氷のように冷たい目で、みほを一瞥すると無言で歩いていく。


けれど、みほともう一人。

二人がその場で立ち尽くしていた。


最初に声を出したのは、みほと向き合っていた人物だった。


「みほさん」


力なく、弱々しい声。

だけど、溢れ出るような喜色がその声には宿っている。

対してみほの返事は同じように弱々しく、けれども戸惑いと罪悪感に満ちていた。



みほ「赤星さん……」



みほと向かい合っているのは先ほど向かい合って挨拶した黒森峰の副隊長。


赤星小梅。


みほと、エリカと、友達だった少女だ。



優しくて、おっとりとしていて、それでいてどこか強かで、そして何よりも誰かのために戦える人。

エリカが『強い』と評した人。

みほにとって小梅はそんな人だった。


ふんわりとした癖毛は彼女の柔らかい雰囲気を強調し、その笑顔はいつだってみほたちを見守るように優しかった。

みほにとって小梅は、そんな人だった。


しかし、今目の前にいる小梅はそんなみほの記憶とはかけ離れていた。

ずいぶんと痩せて……いや、やつれて。目元には濃い隈が浮かんでいる。

立っているだけなのにその体は揺らぎ、足元が覚束なく、今にも倒れそうに見える。


先ほどの挨拶の時も、まほに対してそうだったように小梅に対しても何を言えばいいのかわからなかった。

変貌した彼女の姿は、みほの頭に鈍器のように衝撃を与えてくる。

それを必死で誤魔化すためか、同じようにかつての面影を残さない自身の真っ白な髪には無意識に触れてしまう。


そんなみほの荒れ狂う内心をよそに、目の前の小梅は笑顔のままぽろぽろと涙を零す。


小梅「……良かった。戦車道、やめないでいてくれて。なによりも……元気でいてくれて」


涙をぬぐって、晴れやかな笑顔を見せる彼女に対して、みほはどこまでも困惑したように表情しか出来ない。

ある意味まほ以上に彼女に何を言えばいいのかわからなかった。





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