【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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◆eltIyP8eDQ
[saga]
2019/03/23(土) 22:26:07.66 ID:cpswsJVq0
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夕暮れはとうに過ぎ、周囲を照らすのは規則正しく立っている街灯と月明かりだけになっていた。
プラウダ高校との準決勝を終え、傷ついた戦車たちを車庫に収めた大洗女学園の戦車道チームの面々は、学校の校門前に集合していた。
準決勝は過酷だった。寒さに、プラウダの強さに、極限まで追いつめられた。
結果的に勝利できたとはいえ、その疲労は凄まじい。
けれど、立ち並ぶ彼女たちの顔は疲れとはまた違った様相を呈している。
それを一言で表すことは難しく、それでもあえて表すとしたら―――――動揺と困惑だった。
重く、息苦しい空気が辺りを満たしている。
事実、試合会場からここに来るまでの間、何か一言でも発した者はいなかった。
そんな空気を散らそうとするかのように、校門を背に彼女たちの前に立つ小柄な少女―――杏が気の抜けたような声を上げる。
杏「あー、みんな今日はお疲れさーん。いやー寒かったねー」
この場の空気に全くそぐわないその様子は、けれども重い空気に波一つ立てる事はできない。
しかし、杏はそれを気にせず……気にしていないかのように振舞う。
杏「とりあえず、これで次は決勝だよ。試合までまだ時間があるから各自ゆっくりと休んで。みんな、今日はお疲れ様でした!」
杏はそのセリフを解散の号令として言ったつもりだった。
今日はこのまま自分たちの家に戻って、ゆっくり休んで欲しい。
その気持ちは本心だった。そして、そうしてくれと内心懇願していた。
しかし、空気は重いまま、誰一人として帰ろうとはしない。
そもそも、皆の視線は既に杏を見ていなかった。
彼女たちが見ていたのは杏の更に後ろ、校門に寄りかかって腕を組んでいる少女だった。
そこだけ世界から切り離されているかのように真っ白な髪の少女は、皆の視線が自分に向けられている事に気づくと一瞬、逡巡したように視線を揺らす。
そして決意したかのようにゆっくりと杏の隣に歩いてくる。
杏「……じゃ、じゃあ逸見ちゃんからも何か一言もらえる?ほら、決勝にあたっての激励とかさ」
杏は引きつった笑顔で無理やりおどける。
やはり、空気は重いままだった。
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