【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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◆eltIyP8eDQ
[saga]
2019/05/13(月) 00:08:01.46 ID:bVfjB2rg0
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日は沈み切り、月が空高く上がっている。
そんな月を、みほは一人裏山の山頂で見上げていた。
別に、何か目的があって山を登ったわけではない。
ただ、あの部屋にいるのが怖くて、飛び出した時最初に目についたのが裏山で、
『だから……少しだけ、少しだけで良いんです。前を向いていきませんか? 』
遠く、色褪せた記憶が後ろ髪を引いたような気がしたから。
けれども、山頂まで来たところで何の感慨もなく、
みほはこうやって膝を抱えて日が沈み、月が昇るのを見つめていた。
「エリカさん、私は…」
結局、自分はまた逃げただけなのだ。
沙織が扉の前で何度も呼びかけてくれた時、みほの脳裏を埋め尽くしたのは、罪悪感よりも恐怖だった。
何者でもない、空っぽな自分を知られて、それでも自分を想って呼びかけてくる沙織が怖くてたまらなかった。
こんな価値のない自分にまだ、優しくしてくれる彼女が、理解できなくて怖かった。
だから、逃げ出した。
そうして制服のまま山を登り、体が悲鳴を上げても無視して、山頂にたどり着いた。
呼吸が落ち着くと、今度は自分を責めだした。
こんな自分に優しくしてくれる人たちを裏切って、恐怖を感じた自分自身が、嫌いでしょうがないと、膝を抱えて俯いていた。
そしていつの間にか日は沈み、月が出ていた。
「エリカさん……やっぱり、私じゃダメだよ。貴女がいてくれなきゃ、私は……何も出来ないよ……」
目元に涙をためながら月に向かってそう呟く。
いっその事あの時のように曇り空ならば月に縋る事すら出来なかったのに。
いつもより大きく見える月は否が応でもみほのエリカへの想いを掘り起こす。
そうやって、何度目かの泣き言を呟こうとしたとき、茂みから音がした。
「何……?」
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