5:名無しNIPPER[saga]
2019/03/23(土) 18:13:37.40 ID:WXZGVs7k0
――あのね。スカウト、されたみたい。
半年前の春、どこかの街中のベンチに並んで。
そう零した奏ちゃんの言葉に、小出さんは驚くでもなく頷きました。
まぁ、されるだろう。うん。
それぐらいの気持ちで、腕を組んで、三回頷きました。
小出さんは高1の時から奏ちゃんとつるんでいました。
当時からまぁ呆れるような美人だと常々思ってはいましたが、よもや、アイドル。
スカウトされるのは当たり前。
むしろ、アイドルじゃなくてモデルの方がいいんじゃない? とまで考えていたりしました。
ですが、そういった考えが転回するのにさほどの時間は要りませんでした。
アイドルの世界に飛び込んだ奏ちゃんは、彼女の魅力を遺憾なく発揮していたのです。
美しくて、格好良くて、強か。
きらびやかなアイドルの世界でも、奏ちゃんは奏ちゃんで在り続けました。
彼女の出演するルージュのCMが放映された翌日の事を、小出さんはよく覚えています。
あのCM、2年の速水って奴が演ってるらしいぜ。
そんな一言に火が付いて、その日、奏ちゃんの元には見物客が絶えませんでした。
そんな誇らしい友人が、先生をお父さんと呼んでしまっていたのです。大変です。
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