42: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:39:40.51 ID:j0v9SOSRo
笑美莉は窓の外を見下した。
笑美莉がいるのは、湖畔《こはん》に立つ尖塔《せんとう》の天辺に設《しつら》えられた部屋だった。
真っ白な霧《きり》に閉ざされ、見通せない世界。
しかし、少なくともここは森の中ではない。
彼女こそはまがい物の長髪姫《ラプンツェル》。
尖塔の天辺から遠く離れた水面《みなも》は、笑美莉から見て、薄気味悪いほど凪《な》いで見えた。
世界は静かに待っていた。
笑美莉の決断を。
躊躇《ちゅうちょ》と、諦観《ていかん》と、期待。
それらが、ゆっくりと混ざり合う。
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